800字チャレンジ - 14/14

『理科の先生×体育の先生』

朝の正門。
生徒達が続々と登校してくるのを挨拶をしながら見守る。
しかし今日はいつもと違っていた。俺の隣に白衣を着たスカイアイ先生が立っているからだ。女生徒は先生を見ると瞳を輝かせ、いつもより1トーン高い声で挨拶をする。
まあ、それも仕方がない。新しく転任してきた理科の教師であるスカイアイ先生は背が高くて、とてもかっこいいから。

スカイアイ先生と職員室で昼食を取っていた時、彼は俺の弁当を珍しいものを見るような顔で覗き込んだ。
「お弁当、美味しそうですね。ご自分で料理を?」
「は……はい。大したものじゃないですが」
「そんなことないですよ。ハンバーグとか入ってるし、すごいじゃないですか」
「先生はいつも購買のパンですよね。食堂もあるのに」
「ああ……。食堂は生徒達が群がるので……」
なるほど、それは落ち着いて食事も出来なさそうだ。人気者も大変だな、と俺は苦笑するスカイアイ先生にちょっと同情した。
「よかったら、これ食べますか……?」
俺は自分の弁当を差し出した。
「え、いいんですか?」
先生は最初こそ恐縮していたが、とても幸せそうに俺の手作り弁当を頬張った。今度から彼の分も弁当を作ってこようかなと考える。一人分も二人分も作る手間は大して変わらない。
「……スカイアイ先生は、なぜ理科の教師を?」
「俺は科学が好きなんです。子供の頃、空はなぜ青いのか、飛行機が空を飛ぶのはなぜだろうって疑問を持ちませんでしたか? その疑問に答えてくれるのが科学だったんです」
微笑む先生の目は大人になった今も、好奇心に輝いている。
「素敵、ですね……」
俺も昔は体操に全てを賭けていた。しかし怪我をして体操を諦めざるをえなかった時、体操以外に何も出来ない自分に気づいて愕然としたのだ。
教師になるしか道がなかった俺には、胸を張って好きなものを好きと言える先生が、この上なく眩しくうつった。