『マッサージ@スカイアイ』
最近よく眠れない、と自身の悩みを打ち明けてくれたメビウス1にマッサージをしようかと提案した。
「え、スカイアイがしてくれるの?」
「ああ。身体をほぐしてやれば血行がよくなって眠りやすくなるはずだ」
「いや、でも、あなたにそんなこと……」
戸惑い遠慮するメビウス1を半ば強引に自室のベッドに連行した。
メビウス1をうつ伏せに寝かせる。
スカイアイは着ていたシャツの袖をまくり上げた。両手をこすり合わせて手のひらの温度を上げる。温かくした手でメビウス1の両肩にそっと触れた。ピクリと震える身体から彼の緊張具合が伝わってくる。メビウス1の身体は思った通り、凝り固まって冷えていた。
まずは表面を優しく撫でさする。その後、ゆっくり筋肉を揉む。筋肉を揉みほぐすのが目的ではないから力を入れすぎないようにする。要はリラックスして緊張がほぐれさえすればいいのだ。
「痛くないか」
「うん、ちょうどいいよ」
冷たかった肌がだんだん温もってくる、と同時にメビウス1の緊張もほどけてきたのか気持ちよさそうなため息が漏れ聞こえた。
「ん……っ」
少し悩ましげなため息。
そんな彼の声を聞くたびに胸の鼓動が早くなり、スカイアイは複雑な心境におちいった。やましい気持ちがあって提案したわけでは決してない。純粋に彼のためを思って――だったはずだ。それなのに彼の身体に触れるたびに、その温度が上昇しているのを感じるたびに、自分の体温も上昇していく。やましい気持ちは本当に0.1%も無かったのかと自問すると、完全には否定できなくなってしまった。
マッサージを背中から腰まで進めてきて、スカイアイはそこから先へ手をのばすことができなくなった。やましさを抱えたまま彼の下半身に手を伸ばすなどできるはずがない。それではセクハラだ。
――でも、触れたい。
内側から沸き起こる原始的な欲求は、理性で抑えつけるには困難だった。
そんなスカイアイの耳にメビウス1の静かな寝息が聞こえてくる。
マッサージが気持ちよくて寝てしまったらしい。彼の顔を覗き込むと青白かった頬には薄っすらと赤みがさし、寝顔は微笑んでいるようにも見える。
本来の目的が達成されたのだから喜ぶべきなのだが――。
こちらの感情などあずかり知らぬと言わんばかりに幸せそうに眠っているメビウス1を見てスカイアイは苦笑した。

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