小話まとめ2 - 10/11

『マッサージ@メビウス1』

最近よく眠れない、と自身の悩みを打ち明けるとスカイアイがマッサージをしようかと言い出した。
「え、スカイアイがしてくれるの?」
「ああ。身体をほぐしてやれば血行がよくなって眠りやすくなるはずだ」
「いや、でも、あなたにそんなこと……」
いくら親しいとはいえ、仮にも上官にマッサージなんてさせていいのか? 自分がスカイアイをマッサージするならともかく……と渋ったがスカイアイは強引で、やる気満々だった。
スカイアイの部屋に連れて行かれてベッドに横になるように促される。仕方なくベッドにうつ伏せになった。

メビウス1はこれまで他人と関わることを避けてきた。心理的な距離はもちろん物理的にもほとんど他人と接触してこなかった。他人に身体を触れさせるというのは滅多にないし、好まない。けれどスカイアイなら――彼になら触れられるのも不快ではない、気がする。
ベッドがきしむ。スカイアイの気配を背中に感じて胸が妙にドキドキした。
肩に指先が触れ、動揺から思わず身体が揺れた。しかしスカイアイは気にせずに手のひらを押し当ててきた。
スカイアイの手はびっくりするほど温かかった。それに触れ方は壊れ物を扱うように優しく丁寧だ。揉むというよりも撫でさするみたいな。
大きくて、なんて安心できる手なんだろうか。
労りや慈しみのようなものを感じる。それはメビウス1の身体に残る重石を外していく。ひとつひとつ、丁寧に。
徐々に身体がぽかぽかしてきて、全身が温かくなってきた。すると目蓋がトロンと重たくなってくる。
まさかスカイアイのマッサージがこんなに気持ちいいなんて――。
メビウス1はあっという間に眠りに落ちていた。

その日以降、メビウス1はスカイアイのマッサージが忘れられず、またやってくれないだろうかと内心、心待ちにしていた。だが、スカイアイの方からまたマッサージをしようかと言い出すことは二度となかった。

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