lovey-dovey

びしょびしょになった頭を犬がするみたいに振って水滴を飛ばす。
頭をタオルでガシガシと拭きながら浴室の外へ出ると空気がひんやりしていた。ずいぶん寒い。
スカイアイの家にはセントラルヒーティングなんてないので、冬は普通に寒い。今はまだ風呂に入った余韻で暖かさが勝ってはいるが、あまりのんびり髪を乾かしていては湯冷めしそうだった。
髪をドライヤーで乾かし、水を一杯飲んだら寝室へ向かった。
部屋は薄暗い。スカイアイは先にベッドに入り、枕元のランプだけつけて本を読んでいた。こちらに気づくと本をたたみ「寒いだろう、早くお入り」と言って空いたスペースの布団をめくった。
気づかれない程度。ほんの一瞬、進むのを躊躇う。
しかし何事も感じていないふりをしてベッドに近寄った。
ベッドは冬仕様。マットレスの上に毛足の長い毛布のような敷布を敷いているので肌触りが気持ちいい。身体を滑らせると布団の中はすでにスカイアイの体温でほんのり暖かかった。
彼の腕がすかさず絡みついてくる。
少し離れていた身体を引き寄せられ、パジャマを着た身体同士が密着した。薄い布越しにスカイアイの体温を感じてドキドキする。抱きしめられながら顔中のいたるところにキスが降ってくる。時々、小鳥がさえずるような音がした。
昨日セックスしたので今日は何もない……はずだった。とくに相談した訳ではない暗黙の了解で決まった二人のルーティン。ただ、セックスしない日は寝るまでの間スカイアイからのスキンシップに耐えねばならない。
嫌なわけじゃない。ただただ甘ったるくて恥ずかしいだけだ。
前髪をかき上げられ、あらわになった額に柔らかく唇が落ちてくる。
「髪が湿ってる……ちゃんと乾かさないと駄目だっていつも言っているだろう」
「ん……ごめん」
などと言いながら、唇は目尻や頬に柔らかく押し付けられる。
もうこうなったら自分はされるがままだ。スカイアイが満足するまで。
スカイアイは日の高いうちはあまりベタベタしてこない。すぐに恥ずかしがる俺への気遣いか、自制のためなのかもしれない。その分、昼間に溜まったスキンシップ欲が夜に解放されるらしい。スカイアイはベッドの中なら何をしてもいいと思っているフシがある。
髪を撫でつけ、耳たぶや首筋を通って肩を撫でる大きな手の平。もう片方は背中や腰を辿る。決していやらしい触り方じゃない。ただ触れるだけといった風情だが、それだけで自分の身体はホカホカになる。
向き合って高い鼻梁をするりとこすり合わせて瞳を覗き込まれた。青い瞳が優しく細められ、そのまま閉じる。口づけの合図だと自分も急いで目を閉じると、唇を小さく合わせられた。
再びそうっと目を開けると、目の前に満足そうに微笑む顔が。
――ああ、まったく。下手をするとセックスするより恥ずかしいかもしれない……。
真冬の気温だというのに汗ばむほど身体は火照って仕方がなかった。
足先を絡め合う。スカイアイが掛け布団を肩口まで引き上げた。寝る体勢に入ったことにホッとする。身体を引き寄せられすっぽりと彼の腕の中に収まると、不思議なことにお互いの身体がパズルのピースのようにぴたりとはまる箇所がある。
「おやすみ、メビウス1……」
頭頂部に最後のキスが落とされた。
スカイアイは満足げな息を吐いて寝てしまったが、俺はこの身体の火照りが冷めるまで寝られそうになかった。

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