手を繋がないと出られない部屋

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もう五月ですね。早いなあ。世間はGWですね。

診断メーカー『〇〇しないと出られない部屋』のスカメビssです。

「手を繋がないと出られない部屋」を数秒でクリアして、そのままデートに行く、だったのですがデートまでは無理でした。ギャグっぽいの書けないわ…知ってたけど。

スカイアイとメビウス1の二人は突如現れた真っ白な空間に閉じ込められてしまった!

「真っ白、だね」
呆然と呟くメビウス1。
窓も壁の継ぎ目も見当たらない部屋は非現実的で不気味だ。
「メビウス1、敵の罠かもしれない。――注意しろ」
スカイアイは警戒して辺りを見回した。これが敵の罠かどうかはわからないが、何があってもメビウス1だけは逃がさなくてはならないと内心で決意する。
「見て、スカイアイ。あそこ、何か張ってあるよ」
壁の一部に何かを見つけたメビウス1はスカイアイの心配をよそにスタスタと壁に歩み寄っていく。
「あ、こらメビウス1、迂闊に近寄るな!」
メビウス1の後を追う。白い壁に張られた、白い紙。そこに書かれた文字には――。
「『手を繋がないと出られない部屋』?」
二人で同じタイミングで声に出していた。
「一体、どういう意味なんだ」
スカイアイは混乱した。罠にしてはあまりにも奇妙だった。
「……とりあえず、繋いでみる?」
「えっ、」
敵の罠かもしれないんだぞとか、何が起こるかわからないからやめろ、などと告げる間もなくメビウス1は隣に立つスカイアイの手を握った。
ふに、とした温かく柔らかい感触にスカイアイの心は非常時であることを忘れ、天上へと空高く羽ばたきかけた。その瞬間、何かが大きな音を立てて現実へと引き戻される。
「あ、開いた……! ホントに開いたよ!」
メビウス1が繋いだ手を興奮ぎみにブンブン揺すった。その仕草が子供みたいでほっこりする。
真っ白だった壁の一部が横に自動でスライドして、外の景色が見えた。どうやら手を繋がないと出られない部屋というのは本当だったらしい。しかし、誰が何のためにこんなものを仕掛けたのかは謎なままだ。手を繋いだら開いたということは、誰かがどこかで監視していたということじゃないか?
扉が開いたのにも関わらず、スカイアイは白い天井を見上げて唸った。
「スカイアイ、ほら行こうよ。ずっとこんな白い部屋にいたら頭がおかしくなりそう」
メビウス1が繋いだ手をグイグイ引っ張った。
「あ、……ああ、そうだな」
疑問は残るが無事に出られたのだから良しとするしかない。いつになく積極的なメビウス1に引きずられて外へ出た。
外の空気を吸ったメビウス1は伸びをしようとして、スカイアイの手を握ったままだったことに気づいた。
「あ……っ、ご、ごめん!」
パッと手を離して頬を赤くする。
さっきまであれだけ堂々と握っておいて、今さら恥ずかしがるのは不思議だ。
もしかしたら彼にとって、手を繋ぐには何か理由が必要なのかもしれない――。

今度メビウス1と出掛けるときには、超絶人の多い街中に誘おうと決意するスカイアイなのだった。