新年のご挨拶&記念ss

新年、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

こういうイベントで急ごしらえに書くとろくなもんにならないとわかっているのに、書いてしまった。新年のスカメビssです。……絶対後で後悔するやつ。↓続きから、どうぞ。


久しき昔

「あと少しで、年が明けるな」
スカイアイの示す通り、デジタル時計の数字は2352。オレンジ色に発光している。メビウス1は今にも閉じそうな目蓋を必死に引き上げていた。せっかくだから、スカイアイと一緒に新年を祝いたい。
「メビウス1、眠いなら寝てもいいんだぞ。別に無理しなくても」
「だ、大丈夫……。あと少しだし、起きてる……」
「そうか?」
スカイアイは笑って、メビウス1を後ろから抱え込んだ。ゆらゆらと揺りかごのように身体を揺らしながら鼻唄を歌いだす。
その、どこか懐かしい旋律。
「……あれ?なんか、聞いたことある……その曲」
「有名だからな。俺の故郷では新年を迎えるときに、この曲を歌うんだよ」
「そうなんだ?この曲、俺の国では『蛍の光』っていうタイトルで、卒業式とかに歌うよ」
「卒業式で?へぇ……」
スカイアイはメビウス1にねだられ、続きを歌った。

“旧友は忘れていくものなのだろうか
古き昔も心から消え果てるものなのだろうか”
“友よ、古き昔のために、
親愛のこの一杯を飲み干そうではないか”

スカイアイの低音から紡ぎだされる音は、背中から身体を通して直接響いてくる。子守歌のように優しく。
気がつけばメビウス1は、懐かしい、もはや記憶の中にしか存在しない故郷の情景を見ていた――夢の中で。

「……なんだ。やっぱり耐えられなかったか」
時計はすでに0時を越えて、日をまたいでいた。
スカイアイはメビウス1の寝顔に口づける。
「君といると、毎日が特別な日になるよ。君にとってもそうだといいな……」

――Happy New Year,Mobius1.


作中歌 Auld Lang Syne より