小話まとめ - 3/10

 

『探し物はなんですか3』おまけss

 

「スカイアイ、また夢を見たよ」
「なんの夢?」
「前にも話したと思うけど、スカイアイが先生で俺が生徒の夢……覚えてる?」
「ああ、あれか。――で、どうだった。ちゃんと文句は言えたのか?」
メビウス1は首を捻り、眉に力をいれてうなった。
「言ったような、違うような……。でも、なんか幸せそうだった」
スカイアイはメビウス1の雑なまとめに小さく吹き出した。
「そうか。平和な世界でも、君が幸せになれたならよかったよ」
スカイアイは夢の世界のメビウス1のことまで心配していたらしい。とことん優しい人だ。しかし、メビウス1自身の感想は違った。
「平和な世界か。確かに素晴らしいんだろうけど……でも、俺はやっぱり戦いたいよ――戦闘機で」
平和なんていらない。
戦いたい。
まるで戦闘狂みたいで、これをスカイアイに打ち明けるのは少し怖い。しかし、メビウス1の中にはその感情が偽りなく存在する。それを恋人であるスカイアイには受け止めてほしいなどと欲張りなことを願ってしまう。
「君は戦士だからな」
意外にもスカイアイはすんなりと納得してくれた。目を見開いたメビウス1を見てスカイアイは笑った。
「どれだけ君を見ていたと思ってるんだ?……そんなこと、とっくに気づいてる」
控えめで弱々しい殻に隠された戦士の顔。優しい人格の中に潜む狂暴性。スカイアイはメビウス1の複雑な二面性に気づいていた。
「そういうところも含めて好きになったんだ、俺は」
「スカイアイ……」
メビウス1はスカイアイの首に腕を絡ませて抱きついた。猫みたいに、スリスリと頭を首筋にすり付ける。
「ありがとう」も「大好き」も、照れて言葉では伝えられず、メビウス1はいつもこうして行動で示す。どれだけ正確に伝わっているかわからないが、抱きしめ返し唇を塞ごうとするのを見るに、スカイアイには全て筒抜けなのかもしれなかった。