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ハミングが聞こえる。
庭で洗濯物を干すスカイアイからだ。彼は朝からずいぶんと上機嫌みたいだった。
それもそのはず、今日は9月19日。
「メビウス1、今日は俺の誕生日なんだ」
ウキウキと宣言されてメビウス1は少し呆れた。
いい大人なのに誕生日がそんなに嬉しいものなのだろうか。歳をとるだけなのに。メビウス1にはわからない感覚だ。
それともメビウス1が毎年欠かさずプレゼントをあげているせいなのだろうか。まあ、スカイアイをお祝いするのは楽しいから嫌いじゃない。
「知ってるよ。おめでとう。……今年は何をあげたらいいのかな?」
「話が早いなメビウス1。今年はぜひ、君の作ったケーキが食べてみたいんだ。頼むよ」
スカイアイはウインクをひとつ投げて寄越した。
メビウス1はスカイアイにねだられるとどうしても断れないし、何がなんでも成功させてやるという気になってしまう。
だって好きな人のためなのだから。
それにメビウス1は、これまで一度として任務を放棄したことも失敗したこともなかった。だから必ずこのミッションも成功させてみせる。
スカイアイに最高に美味しいバースデーケーキをプレゼントするのだと、メビウス1は胸に誓った。
♡ ♡ ♡ ♡ ♡
ケーキと言えば、やはり定番はショートケーキだろう。
メビウス1はキッチンでショートケーキに必要な材料を確認した。
どうやら、卵、小麦粉、イチゴが足りないみたいだ。
早速、足りない材料を集めに行かなくては。ゆっくりしていては作る時間が足りなくなる。
出かけるメビウス1をスカイアイが少々心配そうな顔で見送った。
「気をつけてな」
「大丈夫だよ、スカイアイ。すぐ戻るから。……じゃあ、行ってきます」
見送るスカイアイに手を振って、メビウス1は家を出た。